わたしが子犬だった頃の日常のお散歩風景を、今回はお伝えしたいと思う。
ワクチンプログラムが終了し、自宅内から少しずつ外に行動範囲を広げ、家族以外の方々と接する機会を得て、社会性を身に付けていった過程の一部である。
初級編 ご近所の住宅街
わたしの最初の基本のお散歩コースは、自宅マンション付近の住宅街であった。
車道と歩道がはっきりと分かれており、歩道の幅が広くとられている道が多く、安全で歩きやすかった。所々、車道との境目が白線で区切られているだけの道も通るが、十分な道幅があり、車通りもそこまで激しくなかったので、お散歩初心者の幼い頃のわたしと母にはぴったりであった。
人と接するわたし
姉が登校し、父が出勤してから、準備をして母とお散歩に出掛けるのだが、登下校中の幼児、児童、生徒、学生さんや、ご近所の犬好きな人によく可愛がって貰っていた。
特に、女子高校生の集団には熱心に視線を送り、立ち止まらせていた。わたしの視線に集団の中の1人が気付いて、「可愛いね~。」と言って貰えると、2、3人に撫でて貰ってお見送りするのがパターンであった。
犬と接するわたし
同じ様にお散歩している犬にもよく出会った。
かなりぐいぐい匂いを嗅いでくる犬や、わたしの様にこちらを確認したらすぐ母に挨拶に行く犬、どっしりと構えた大先輩で、挨拶はさらっと済まして見ている犬、全く犬が苦手で飼い主さんの後ろに隠れている犬、程良い距離感で接してくる犬等、犬によって性格も行動も様々であった。
このお散歩コースで犬同士の挨拶を勉強させて貰い、相手の態度によって対処法を変える術を身に付けたのである。
中級編 長距離の土手

近所の住宅街とは反対の方向になるが、少し足を延ばすと土手があり、運動量を増やしていく為に、土手を巡るコースもお散歩コースの1つに加わった。
住宅街の歩道と違って、土手の道は両脇に草が生い茂っており、土や草の感触は気持ち良く、他の犬も多く訪れている様で、色々な匂いがするので歩いていて楽しかった。歩く距離も長くなり、土手なので道にも起伏があり、運動量を増やすのにもってこいであった。
このお散歩コースの問題点は、川沿いの開けた場所なので、風が強い時は大変なのと、日陰になる場所が無いので、日差しが強い季節はわたしには辛いという事だった。そこまで暑い時期でなくとも、給水タイムを何度も取っていた。
電車の線路が近くを通っていたので、電車が通る度に大きな音がしたり、川をボートが進んで行くモーター音がしていた。今までの生活では聞き慣れない音にも接し、音への順応性を高めていった。
上級編 人の多い駅前


その後、ご近所の住宅街、土手のコースに加えて、人通りの多い駅前を巡るコースが仲間入りした。
態々、人好きのわたしのテンションが上がって、制御不能になりそうな場所を巡ったのには理由があったのである。
駅前をお散歩コースに入れた訳
わたしがいたペットショップは、動物病院も運営しており、最初の頃は無料で健診を受けられ、近所の動物病院を良く知らなかった母はそこにわたしを連れていっていた。
問題は歩いて行ける距離では無かった事である。母はわたしをクレートに入れて15分程バスに乗り、病院に通っていた。バスに乗る為に駅まで歩いて行かなくてはならないが、人が沢山いればわたしは落ち着きを無くし、その興奮した状態でバスに乗ると、バスの乗降扉が開閉する度に騒いでしまっていたのである。
バスに乗っているお客さんは、高齢者の方が多く、バスの停留所で並んでいる時から「犬?可愛いねぇ。病院行くの?大変だねぇ。」と声を掛けて下さり、温かく見守って頂けていた事が多かったのが幸いであった。
通院の度に毎回浮かれまくっていたわたしをどうにかするべく、それまでは、わたしが歩きやすい場所を中心にお散歩していたのを、敢えて人通りの多い駅前もお散歩コースに加えたのである。
人好きなわたしは、人通りの多い所に行けば浮足立ち、母の横を上手く歩かなくなる事もあるのだが、場数をこなして改善しようと母は考えたのである。
駅前デビューのわたし
駅前は兎角人が多い。声を掛けて下さる方も沢山いる。可愛がられる事は本望なので、わたしとしては喜ばしい事である。駅前の交番のお巡りさんも犬を飼っているそうで、会うと撫でて貰っていた。
駅に行ってもバスに乗らない事もあるんだと分かったし、かなり時間は掛かったけれど、幼い頃よりは興奮しなくなった、、、、、、よね?これ以上は、もうわたしの性格だから仕方ないのである。
お散歩コースはランダムで
住宅街や土手、駅前等お散歩コースが何通りかあり、更にそれぞれのコースの中での道順も何通りかあった。ずーっと同じ道順、同じコースを歩くのではなく、その日その日でコースも時間帯も変える事で、母は主導権を握っていたのである。
同じ時間、同じコースを習慣化してしまうと、犬の方からお散歩の時間になると要求するようになってしまう事がある。すると、お散歩は犬主導の物と化し、犬と飼い主が一緒に歩くのではなく、犬が行きたい方向を決め、やりたいように動いてしまう。
しかし、人も車も自転車も通る中で、まっすぐ歩けないのは危険である。それに、人だって犬好きな人ばかりではないし、アレルギーで犬好きでも触れない人だっている。
お散歩のルールは、社会生活に合わせて守れるように、飼い主さんが指導していく事が大切なのである。
- ワクチンプログラムが終わったら、出来るだけ幼い頃から、様々な年齢・性別の人や犬に接する機会を持つ。
- 普段家の中では耳にしない色々な音や、大きな音に接する機会を持つ。
- 人の多い場所にも行き、場数を踏んで興奮しない様に慣れる。

普段のお散歩風景のスナップ集です。宜しければこちらもご覧ください。
